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▼どうなるPS3? 次世代ゲーム機と次世代DVD
先週配信のメルマガで、プレイステーション3についてその価格からかなり厳しい戦いになるのでは、という見解を書いた。まずその価格についてフォローすると、PS3は6万円以上でも採算割れ商品であり、当初の1000万台くらいまでは1台あたり25,000円程度の持ち出しとなるという見方が一般的だ。
ソニーは今期ゲーム事業で1000億円の赤字を見込んでおり、その原因は600万台の出荷を見込んでいるPS3である。つまりこれでもゲーム機として勝負を賭けた価格であり、ソフト販売で莫大な利益を生むと同時に、急速に普及してハードのコストダウンが成されなくてはならない宿命を背負った商品なのである。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久夛良木健社長は、「リビングのスーパーコンピュータ」としてのPS3、つまりゲーム機に止まらないその可能性を強調し自信を見せている。今回はそのPS3の様々な魅力について考察したい。
▼ブルーレイ・ディスクプレイヤーとしてのPS3
「次世代DVD戦争本格化 SCE “プレステ3” 6万2790円」、ロサンゼルスでPS3の価格と発売日が発表された直後、それを報じた日本経済新聞の見出しである。(9日夕刊)この見出しからわかるのは、日経としてPS3の最大のポイントを次世代DVDたるブルーレイ・ディスク(BD)の再生機能を有していることと捉えていること。どんなにSCEが否定しても、PS3をBD普及の手段として見ているということである。では、BDプレイヤーとしてPS3は人気商品となりえるのだろうか。
今後発売されるBDプレイヤーは10万円前後と予想されており、その再生ができ、かつ最新のゲームも楽しめるとなれば、6万円強という価格は高くはない。現行のPS2も約4万円でDVD再生機能が搭載されていたことが大きな魅力となり、大ヒットとなった。
だが現行の家庭用DVDプレイヤーの発売が始まったのは1996年、実はPS2の発売時はDVDの登場後3年余りが経過していた。つまり新しいものに飛びつく少数のユーザー層は既に購入しており、VHSからの転換を考え始めていた普通のユーザー層にとって、ちょうどよいタイミングで登場したDVDプレイヤーがPS2であったわけだ。
一方BDプレイヤーは、これから普及が始まる商品。PS3発売時にどの程度のソフトがあるのか、まだわからない。しかも東芝などが推進する次世代DVDであるHD−DVDと、どちらが主流になるかがはっきりしない状況である。松下電器がBD陣営とはいえ、ソニーファンならずともベータの敗北が頭をよぎるはずだ。
▼現行DVDでも充分という層も
また現行のDVDはまだまだ普及期にある。内閣府の発表によると今年3月次点で、DVDプレイヤーの普及率は61.1%。多くの家庭でここ数年の間に、DVDとVHSとの交代が進んでいる。ここ数年間に、DVD/HDDレコーダーを購入した方も多いはずだ。つまり、すぐに次世代DVDであるBDに買い換える必要性は、現在の一般家庭に存在しない。
もちろんその美しさからハイビジョン映像の虜になり、次世代DVDに注目している人も少なくない。テレビ局やゲーム業界には新しいもの好きの人が多く、筆者の周囲にも既にBDやHD−DVDの購入を検討している人もいる。だがそういうユーザー層は、PS3よりBDプレイヤーとして高スペックの専用機も視野に入るだろうし、全体から見ればごく小数であろう。それほど画質に拘りのない人からすれば、しばらくは現行DVDで充分。2011年の地上波テレビ放送の完全デジタル化あたりまでは、次世代DVDの必要を感じないはずだ。
筆者の見解では、この二つの次世代DVDは規格の統一が早急に進まない場合、しばらくの間はレーザーディスクのように、一部のファンだけが購入するものとなるのではないだろうか。その後、家庭用録画再生機としては、テラ単位の大容量ハードディスクを搭載したホームサーバ的なマシンが主流となるだろう。おそらくそのマシンはメディアとして、BDとHD−DVDの勝者、もしくは更に進んだものを採用することもありえる。そしてその本格的な普及が始まるのは、地上波デジタル化目前の2010年以降になり、それまでは現行のDVDが主流として使用される可能性が高いと考えている。
▼リビングのスーパーコンピュータ
もちろんそういったホームサーバ的なマシンとなるのが、PS3でありXbox360だという主張もある。実際、拡張性もありそういった使われ方もされるであろう。久夛良木社長が以前から発言している「リビングのスーパーコンピュータ」という構想であり、かつてビル・ゲイツ氏が提唱していた「セット・トップ・ボックス」というアイデアである。つまり、テレビの隣に存在し映像、音楽、ゲームなど家庭内のエンターテインメント全てを集約する存在だ。久夛良木社長は、コンピュータと家電、そしてゲームの三つの産業は今後融合していくという見解を示している。
だが、これも残念ながら現状では何ができるのか、何が楽しくてどう便利なのか、まだ一般のユーザー層には伝わっていない。なんとなくは理解されていても、多くの人とってリビングにスーパーコンピュータはまだ必要とされておらず、購入意欲を持たせる要因とはなりにくい。
それでもPS3は、熱心なファンと新しいもの好き層に支えられ、最初の数百万台までは順調に売れるだろう。問題はその後、PS3が2のように普及するには様々な課題がある。ハイビジョンが標準となる時代が予定より早く実現し、リビングのスーパーコンピュータの利便性が急速に理解され広まること。同時にPS3のコストダウンが進んで価格も安くなり、魅力的な対応ソフトが数多く登場、相乗効果としてBDが普及し主流化する。容易ではないが、そういう連鎖に持ち込むことが出来れば勝機は充分にある。
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