|
▼カプコン開発子会社が解散
カプコンの開発子会社クローバースタジオが、ひっそりと解散した。派手な設立発表会を行い、2004年7月にスタートを切ったクローバー。「逆転裁判」「鉄騎」などで知られる稲葉敦志氏が社長、スタッフには「デビルメイクライ」の神谷英樹氏、そして「バイオハザード」の三上真司氏と、有力なクリエイター陣が目を引き、新しいものにチャレンジしていくというその設立趣旨には、大きな期待が持たれた。
>> (参考 第28回ゲーマスタ)
そして今年は「大神」、「ゴッドハンド」と、特徴ある素晴らしい作品を世に送り出し、ゲームファンに高い評価を得た。しかし先月、カプコンのホームページに解散のお知らせがひっそりと乗ったのである。
▼選択されなかったクローバー
その理由は「選択と集中による効率的な開発展開」とされている。「選択と集中」という言葉はその会社の強い部分、成長性の高い部分などを選択して、そこに持てる人材など資源を集中し、企業価値を高めるという意味。投資家向けの広報であるIR情報でよく用いられ、企業の経営説明会などで一時期盛んに使われた用語だ。
だがこの言葉の裏を返せば、選択されなった部分は整理されるということ。ある意味、リストラを経営サイドから肯定的に捉えたものと言えなくもない。クローバースタジオはカプコンの経営上、弱い部分と見なされ選択されなかったのである。
では、スタート時に60名以上いたそのスタッフはどうなるのだろう。カプコン本体に戻った人もいるようだが、解散時は10数名しか残っていなかったという情報もある。稲葉氏、神谷氏をはじめ、多くのスタッフが今後どうするのかはわかっていない。このあたり、かつてセガが開発部署を分社化し、その後また統合したときとはちょっと事情が異なる。
▼カプコンの開発力は?
それにしてもカプコンの開発陣営はここ数年で激変した。開発統括であった岡本吉起氏をはじめ、船水紀孝氏、三並達也氏が既に独立している。三上真司氏はカプコンとの契約関係は続くというが、社員ではない。つまりかつて第一から第四までの強力な開発ラインを率いてきた人物で、現在残っているのは、稲船敬二氏(常務執行役員 開発統括)だけ。また最近では、ヒット作「モンスターハンター」のプロデューサー田中剛氏も退職している。
しかしそれでもカプコンの開発陣は層が厚いというべきか、Xbox360用の新規タイトル「デッドライジング」もアメリカで大ヒットしているし、「ロストプラネット」も期待できる作品だ。もちろん、「バイオハザード5」など、人気シリーズの続編もちゃんと開発されている。カプコンのゲーム作りの上手さ、特に独特の手触り感を持つアクションゲームの開発力は、人材が流出しても受け継がれているようだ。
▼人材は流動しても
ただ人材が流動的なのは、なにもカプコンだけではない。大手、中小を問わず多くのゲーム開発会社は常に人材を募集している。つまりそれだけ辞めていく人も多いのだ。もちろん、会社を辞めるのは会社員の自由であり、有力な人材が流動することにより開発ノウハウや知識が拡がり、それにより業界が活性化していく面もある。
また個人的には、大手を辞めて自分で会社を興して頑張ろうという方を、応援したいという気持ちも強い。ゲーム開発には組織力が不可欠だが、ものを創り出す現場であるのだから、テレビ、映画などの世界のようにフリーランス的な形も含めて、多様な労働形態があってもよいはずだ。
カプコンを去った彼らが今後何をやるのか、まだわからない。ただきっと岡本氏や船水氏のように、どこかでまたゲーム開発を始めるに違いないし、そう期待している。クローバーがなくなっても、その新しいものに挑戦しようというマインドは、必ず受け継がれてゆくはずだ。
|