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▼ブルーレイプレイヤー値下げ!
先週、あるニュースが飛び込んできた。ソニーが北米で次世代DVDであるブルーレイ・ディスク(BD)再生機を値下げしたのだ。当初599ドルと予定されていた新機種「BDP−S300」を100ドル下げて、499ドル(約6万円)で今月にも出荷を開始するという。このニュース、海外の小売価格のことであり日本国内ではあまり注目されていないが、プレイステーション3にとっては大きな意味を持つことになりそうだ。
BDと言えばご存知の通り、PS3も採用しているフォーマットである。BDが再生出来る事がPS3のセールスポイントになると同時に、PS3が売れることでBDの普及が加速しライバルであるHD−DVDに勝利するという、言わば二兎を追った作戦をソニーは考えていた。背景には前機種PS2が、DVD再生機能を搭載したことで大ヒットに繋がった経験がある。
▼「高さ」が際立つPS3
だが自らが、PS3より安いBD再生機を発売することになった。ソニーは北米地区でハードディスクが20GBタイプの低価格版PS3の出荷を停止しており、現在は599ドルの60GBタイプが主流なのである。もちろんBD再生機ではゲームは出来ないので、+100ドルでゲームも出来るPS3はお買い得という理屈もある。
しかし多くの一般消費者は、価格にとても敏感に反応する。安いBD再生機の存在はPS3の高価格を目立たせることは確実だ。加えてアメリカでゲーム機が急速に売れ出すのは200ドル台になってからと言われており、現状でもPS3は相当に高く見える商品。そして多くのゲームファンは、北米でも現在はWii(250ドルでWiiスポーツ同梱)に引き付けられている。
ただでさえPS3はソニーの予定より売れていない。低価格機の発売でBDプレイヤーとしての魅力も薄れていく中、WiiやXbox360にこれ以上差を付けられないためにはPS3は値下げを早急に検討せざるを得ない。だがしかし、ここに大きな赤字の壁が立ちはだかっている。
▼赤字の壁
ソニーグループのゲーム事業は、前期(2006年4月−2007年3月)2300億円以上の営業損益となっている。これはPS3がその先行投資に加えて、売れば売るだけ赤字になるハードであるからだ。ソニーが株主向けに配布した報告書にも「製造コストを下回る戦略的な価格設定での販売による損失が発生した」と、はっきり書かれている。
今後量産と共にコストダウンが図られ赤字幅は縮小していくだろうが、ソニーは今期もゲーム事業は500億円ほどの赤字と見込んでいる。つまり目論見どおりの台数PS3を販売して普及が進んでも、事業として黒字になるのは来期(2008年4月から)なのである。そしてもしPS3を今期1万円値下げすると、赤字が1000億円ほど拡大すると推測されている。
▼進むも引くも…
ソニー全体としては液晶テレビなどの売上げ増で、今期は黒字が拡大すると見込んでいる。だからPS3の赤字が増えても許されるかと言うと、どうやらそれは難しい。ソニーの中期経営計画では、来年3月に営業利益率5%を達成する予定なのだ。現在のストリンガー会長、中鉢社長体制にとってこの計画は経営目標であり、株主らへの約束と言えるものだ。しかも最近はエレクトロニクス部門の復調で計画達成が可能との見込みが、インタビューなどで語られている。ここでPS3を値下げすると、この中期目標達成を危うくする可能性が強くなる。
PS3の現状は非常に深刻なものと捉えざるを得ない。進む(値下げして勝負する)も地獄、引く(このままの価格で耐える)も地獄、身動きが取れない状況に追い込まれつつあるように見える。ソニー・コンピュータエンタテインメントは、欧州に続いてアメリカでも人員削減を行うという。そして今回のBD再生機の値下げは、もはやPS3がBD普及の戦略的商品としては価値がなくなったことを、ソニーが判断したとも取ることが出来るのである。
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