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▼いたストDSと新幹線  いたストDS
出張で東北新幹線に久しぶりに乗った。旅の友は発売されたばかりの「いただきストリートDS」(スクウェア・エニックス)。以前PS2版をプレイしたが、この手のゲームではヘボなAIである事が多いコンピュータプレイヤーが、かなりの高等戦術を使ってくるのに驚いた記憶がある。
やってみると、こういう情報量の多いボードゲームでニ画面のDSが非常に便利なことに気づかされる。タッチパネルは関係ないが、情報の一覧性が高いためいろいろとコントローラを操作する必要が無く、ストレスが軽減される。ドラクエとマリオというコラボレーションも、違和感を感じない。とりあえず2勝して、キャラクターにルイージの髭を買ってあげる。今作も楽しめそうだ。
そのときふと気づいたのだが、真後ろの席の人もDSをやっていた。トイレに立ったついでに探して見ると、同じ車両に3人のDSユーザーを発見した。ちなみに新幹線1両の座席数は多いもので100程度。現在DSは国内1700万台以上が出荷されており、人口8人あたり1人以上持っている計算になる。乗っていた車両は満席に近いので、10人以上がDSユーザーのはずだ。3人くらい見かけたからと言って驚いてはいけないのだろう。
だがこの人気絶好調のDSに、当の任天堂でさえ懸念しているある事態がある。
▼アタリショック ゲームの歴史をさかのぼる事20年以上、アタリショックと呼ばれた出来事があった。
1976年に発売された米国ATARI社の家庭用ゲーム機「アタリ2600」は、2500万台以上を売上げ、当時の全米家庭の約30%に普及した。カセットを入れ替えることで様々なソフトが楽しめるこのマシンは現在のゲーム機の雛形とも言え、ソフトメーカーがゲーム業界に参入するきっかけも作った。
だが82年の年末から、突如そのハードもソフトも全くと言っていいほど売れなくなった。過剰な在庫を抱えたお店には倒産に追い込まれるケースもあり、ゲームビジネスから手を引く会社も相次いだ。これがアメリカのゲーム市場を一度壊滅に追い込んだ、アタリショックである。
その最大の原因はソフトの粗製濫造であった。突然注目されたゲームというマーケットに多くの企業や個人が参入し、同じようなソフトやつまらないソフトが市場に氾濫したのである。ユーザーは買っても買っても面白いソフトに当たらずに、ゲーム自体を見放したという。この状況、今のDSにちょっと似ている部分があるように思う。
▼任天堂岩田社長も発言 今年行われた決算発表の席で、任天堂の岩田聡社長もDSソフトに対してこう発言している。
『当然たくさんのタイトルが出ていれば、お客様が毎回お買い求めになるたびに必ずアタリを引くということがその分難しくなってまいります。万が一お客様が失望されるようなことがあった場合に、折角ゲーム人口が増えたのに、その方がそれに失望して、「もう二度とゲームなんかやらない」って仰るかもしれません。』
岩田社長はアタリショックが再来する可能性に言及したと解釈できる。ちなみに『 』内は任天堂ホームページより引用させて頂いた。カタカナで「アタリ」となっているのも原文のままで、岩田社長がカタカナで発言したつもりかはわからないが、文章化した担当者はアタリショックを意識していたのではないかと深読みしてしまう。
▼知られずに終わるソフト 一方で「脳トレ」の大ヒットで注目された現在の実用、教養系DSソフトの売れゆきを見ると、任天堂製品以外はほとんど売れていない状況がよくわかる。これだけハードが普及しているのに、数千本のセールスで終わっているソフトが山ほどあるのだ。
岩田社長も「折角面白い要素のあるタイトルが出ても、マーケティングがうまくいかないと、お客様に知られないままで終わってしまう」と現在の市場を語っているが、コマーシャルを大量に投入する任天堂タイトル以外が、市場では目立たないという状況が既に発生している。
そんな中、バンダイナムコやスクウェア・エニックスなど、大手ソフトメーカーの実用系DSソフトへの参入が本格化してきた。筆者はこの状況で大手がどんな内容のソフトをどういう戦略で売るのか、DSの今後の行方が見えるのではと非常に注目している。
何故ならもし彼らがことごとく失敗した場合、アタリショックならぬDSショックの引き金になりかねない危険があるからだ。DSブームに乗って参入した新規のソフトメーカーとは違い、業界大手である彼らは流通や消費者に対する影響力も大きい。
だがDSショックはもし発生しても、少しだけアタリショックと異なる様相を見せることを予想している。なぜなら任天堂はアタリショックの教訓を充分に理解しそれを生かして、ファミコンを成功に導いた会社でもあるのだ。ただその場合は、ゲーム業界の任天堂集中が更に加速することにもなる。
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