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▼任天堂の躍進続く 任天堂の株価が5万円を超え、最高値を更新し続けている。時価総額(※)でソニーを抜いたことは先日ニュースになったが、現在は武田薬品工業も抜き日本企業の第9位、NTTドコモ(8位)やホンダ(7位)に迫る勢いだ。
一方海の向こうでは、マイクロソフトの好業績がニュースとなっている。140億ドル(約1兆7000億円)を超える純利益の背景には、独占的なシェアを持つパソコン用OS「ウインドウズ」がある。だが実は、そのマイクロソフトの足を引っぱっているのがXbox360を中心としたゲーム事業だ。前期の約1.5倍、18億9200万ドル(約2300億円)の赤字である。ソニーグループの中でPS3が赤字部門になっているのと、ちょっと状況が似ている。
※時価総額 株価×発行済み株式の総数のことで、その企業の価値を示す目安となる数字。本文中の順位は2007年7月25日現在のもので、株価が上下することで変動する。
※追記 8月7日現在で任天堂は6位になっている。
▼儲からない高性能機 Xbox360が大きな赤字を出した理由として、ハードの不具合によるリコール(無償修理)がある。だが、リコールにかかる費用は約10億ドルと発表されており、赤字額の半分強。つまり欠陥問題がなくても、Xbox360は1000億円規模の赤字を出す儲からないビジネスなわけだ。
PS3とXbox360が赤字なのはまだ売れてないのだから当然のことで、今後ハードの普及が進めば黒字化するということになるのだろう。確かにPS2などのように独占的なマーケットを確立できれば、ソフトのライセンス料(※)だけで莫大な収入になる。
だがPS3とXbox360の両者は、これまでにない規模の開発投資を経て発売されたハードウェアだ。既に世界で1160万台を出荷しているXbox360が未だ黒字事業とならないのは、高性能マシンで成功することが難しいことを証明している。ソニーも今期更に1000万台程度のPS3を販売しても、まだゲーム事業は黒字化しない見込みなのだ。
そして儲からないのはハードだけではない。そのソフトも開発に莫大な費用を必要とするのである。PS3で本格的なソフト開発を行うと、最低でも30万本以上の売上げがなければ赤字になるといわれている。
※ハードメーカーは自社タイトル以外の対応ソフト全てから、決められたライセンス料、製造費などの料金を徴収する
▼高い開発費から逃げる 日本国内市場で、30万以上の売上げを見込めるソフトはそう多くはない。昨年1年間で見ると約40タイトルあるが、多くはニンテンドーDS用でPS2用は約10タイトル、そのほぼ全てが「ファイナルファンタジー」とか「ウイニングイレブン」といった名前がつくお馴染みのシリーズ関係である。国内で2000万台をはるかに超えるハードが出回っているPS2でこれなのだ。100万台余りのPS3向けのタイトルに多額の開発費をかけて今発売するのは、かなり勇気の必要な行為だろう。(※)もちろん海外市場に期待することも出来るが、そうなるとハードは少しでも売れているXbox360を選びたくなる。
結局日本のソフトメーカーの多くが、現在ニンテンドーDSやWiiに力を入れているわけだが、これはあえて選んでいるのではなく他に選択肢がないだけのこととも言えるだろう。
※SCE発表による2007年3月末の出荷台数はPS2 2542万台、PS3 126万台(アジアを含む日本国内)
▼PS3に戻れない そんな中、ある有名なゲーム開発者がこんな事を言った。
「一回DSにそまっちゃうとPS3には戻れないんですよ」
若手の開発スタッフに一度DSをやらせると、PS3など高性能のゲーム機の仕事に戻すことが難しいというのである。作り方や要する時間、求められるソフトの内容などに、あまりにも差があるのが原因だという。
もちろん、全ての人に当てはまることではないだろう。だが世の中のゲームがDSに代表される気軽なものと、PS3に代表される高性能、高画質なものに大別されつつある中、開発者もどちらかを選ばざるを得ない時代なのかもしれない。
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